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メロディもサウンドも言葉もとても素朴で、そのぶん今のあいみょんのもつ器の大きさのようなものがまっすぐに伝わってくる“愛の花”。日々雨のように降ってくる悲しみの涙にも揺らぐことなく、ゆっくりと芽吹いて花を咲かせる愛。毎朝届いてくるあいみょんの歌は今、時代も世代も超えて深く深く届いていることだろう。そしてカップリングの“彼氏有無”もいい。ギターとプロデュースにアイゴンこと會田茂一、ベースにCurly Giraffe・高桑圭、そしてドラムにクハラカズユキという鉄壁のフォーメーションで鳴らされるロックンロールはとてつもなくクールだが、やはりここでもあいみょんの歌はなぜかとても優しい。《今の君に足りないものを/僕が全部あげるから》というフレーズには“愛の花”同様、愛を求めるのではなく与える側に今の彼女がいるのだということをはっきりと伝えている。『瞳へ落ちるよレコード』で彼女の視点は大きく変わったが、そこから注がれる視線は今なおとても強く、確かな輝きを放っている。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年8月号より抜粋)
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