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まずタイトルにわくわくしてしまった。リュックと添い寝ごはんのイメージを覆すような新機軸ではあるが、これは彼らのひとつの宣言なのだと思う。ロックバンドとしての核にあるものを、今こそ彼らは楽曲に落とし込んだ。《流行り物ばっかり並べてどうする》という力強い歌が示すように、戦略的に音に情報を詰め込んでいくようなアプローチとは真逆のスタンスで、あえて音の隙間を作ってその余白がメッセージを放つかのようなサウンドプロダクション。とても清々しい。その迷いのない、疾走感溢れるサウンドには揺るぎないアイデンティティが宿る。派手なギミックや仕掛けなど用意するまでもなく、楽曲の熱量、メロディの良さ、伝えたいメッセージの強さ、それだけで勝負できるバンドであることを、この楽曲は示している。昨年11月にリリースした2ndアルバム『四季』では様々な色彩で日常風景を描き出した彼らだからこそ、そこではあえて表現しなかった強い矜持が、今ここに明確に示されたのだと思う。シンプルで力強いギターロックのアンサンブルが強く耳に突き刺さる。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年8月号より抜粋)
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