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いかにもねぐせ。らしいレトロで可愛いタイトルを掲げた新曲は、“スーパー愛したい”の系譜に連なるポップなロックンロールソング。ということはすなわち、バンドのストロングポイントとチャームポイントが遺憾なく発揮された名曲ということである。ベース、ドラム、ギター、それぞれが歌うように絡み合うバンドのアンサンブルは軽妙で軽快だが、りょたちの穏やかな歌声も相まって過剰にアガりすぎることはなく、躍動感と包容力がブレンドされた絶妙なテンションを維持し続ける。そのアンサンブルの隙間に響くピアノが、生活に飾る花のように時折鮮やかな色を差す。《宇宙にも勝てそうな僕ら 昨日は憂鬱に負けてしまった》――そう歌い出す歌詞も秀逸だ。《宇宙》とか《タイムマシン》とか出てくる単語はファンタジックだが、そんなモチーフを通して、何気ない日常の何気ない喜びと、消えることのない「解決されなさ」が捉えられている。ねぐせ。は、不安と歓喜を抱きしめて生きる君の味方であり続ける。(天野史彬)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年11月号より抜粋)
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