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10月に公開される映画『大雪海のカイナ ほしのけんじゃ』の主題歌となるヨルシカの新曲。TVアニメ『大雪海のカイナ』のオープニング曲だった“テレパス”から続けてのタッグだからか、淡々とループする平歌部分からサビでガラッと装いを変える展開など、両曲には符合を見せる部分があると同時に、ギターと鍵盤とでメイン楽器と上物の関係が逆であるなど対の存在にも映る。“月光浴”のメインリフを担うのはアコースティックギター。どこかあどけなさを感じるほどクリアな歌声をそっと乗せるsuisがふと微笑むようにハミングしたあと、拍子の感覚を失うほど長いブレイクを挟み溢れ出す、ヨルシカ史上最もエモーショナルなロングトーンは圧巻だ。ポップスの基本フォーマットから外れた構造であってもアニメ主題歌として成立させるアレンジ。「月」と「月日」の捉え方と絡ませ方。音の存在が希薄な「月夜の海辺」という情景を音楽でもって描き切る表現力。どこを取ってもn-bunaのセンスには脱帽するばかりだ。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年11月号より抜粋)
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