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古いソウルか歌謡曲のレコードをサンプリングしたみたいなサウンドの上で聴こえてくる、とてもシンプルなメロディと一言一言をつぶやくようなあいみょんの歌。10月3日にサプライズリリースされた新曲は、なんともいえない懐かしさと切なさを感じさせる一曲になった。遠いようで近い、近いようで遠い、不思議な感覚。それはまるで歌詞に歌われるふたりの距離感のようで、《ダメに成る時は成るでしょう/せめて それまでは ふたり》という彼らの行く末に胸が締めつけられるような思いがする。そして拡大解釈するのならば、そのふたりの関係性はそのままあいみょんと音楽の関係性なのかも、と思ったりする。MVでは部屋着のあいみょんが寄ってたかって着替えさせられ、マイクを持たされ、カメラの前に立つ。最後には昭和の演歌歌手みたいなラメラメのジャケットを着せられて戸惑いながら歌っている彼女も「透き通った2日目の湯船」(それはひとりで曲を作っていたあいみょんの原点かもしれない)を想像しているのかもしれない。(小川智宏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年12月号より抜粋)
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