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NEEが奏でるダンサブルなサウンドが醸し出すムードは、本当に独特なものがある。激しく手足をばたつかせて踊れば踊るほど胸の内で不穏な衝動が募っていくかのようなあの感覚の正体とは一体なんなのだろうか? どのように表現するのが適切なのかは判断が本当に難しいのだが、いずれにせよ明るく元気に踊れてハッピーというようなニュアンスでは全くないのは確かだ。抱え込んでいる悶々とした感情を引きずり出しながらフロアに叩きつけて、野性的なステップで何度も踏みつけてやった結果、なんとか少しすっきりした感覚に辿り着ける……というようなニュアンスなのがNEEのサウンドが誘うダンスかもしれない。そんなことを新曲の“一揆”を聴きながら思った。シャープに刻まれつつもどこかざらついていて不穏なビートは、かなり血生臭い。何にも増して救済したい「自分」という存在のために歌っている様が切実さを滲ませているのも印象に残る。NEEの音楽の不思議な風味にじっくりと触れた感覚になる曲だ。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年2月号より抜粋)
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