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“瞳にめざめて”以来、約1年4ヶ月ぶりのシングルにして、一気に2週連続リリースを果たすMy Hair is Bad。“悲劇のヒロイン”“自由とヒステリー”というタイトルからして、特に恋愛にまつわる「痛い振る舞い」を撃ち抜いている。さらに、どちらの楽曲も、別れの寸前に視点や感情が右往左往して、いつもは見えないものが見えたり、感じないことを感じたりする、そのすべてを細やかに描写しながら、最後は《「好きだからだよ。」》で締め括るという、「なんだよ!?」と叫びたくなるような、でも、とっても生々しいストーリーになっている。恋愛ソングに食傷気味な人もハッとさせるようなギミックがちりばめられており、感情移入するだけではない聴き方ができるはずだ。ずっしり響く“悲劇のヒロイン”、小気味いい“自由とヒステリー”、曲調こそ違えど、どちらも歌詞が耳に滑り込みやすい歌い方と演奏になっているところにも、彼らのスタンスが表れている。一途なバンドサウンドも、世界観の青みをより濃くしているようでいい。(高橋美穂)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)
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