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前作『FREAK』がある種内省的な享楽を無限に爆発させたような作品だったのに対して、今作は自分たちの部屋から飛び出すまではいかずとも、窓を開けて確実に世界へと手を伸ばそうとする意志が感じ取れる。それは希望とも勇気とも自信ともつかないが、突き抜けるポップも重厚なロックもふらふらと宙を舞うピコピコ音も、すべてが「TORCH」に向かって突き進んでいく気持ちよさがある。しかしその道筋もまっすぐではないのがネクライらしさ。1曲目、もっさの伸びやかな歌声が心地いい“ちょうぐにゃぐにゃ”のように歪なのだ。さらにもっさ作の2曲――気だるさと健気さが交差する“新島工場探検隊”、グッドメロディの上を不安と諦念に満ちた投げやりな気持ちが上滑りする“だから、”は痛快でありながらも重要なエッセンスとなっている。そして、鬱屈した感情がないまぜになって押し寄せる“ねぇ、今どんな気分?”でガツッと脳髄を殴られるような衝撃を受けるが、それでも心は晴れやかに澄み渡る。これが今の彼らの戦闘態勢なのだ。（橋本創）

（『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋）

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