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デビュー15周年を迎え、8月には約10年振りの日比谷野音公演を控えたa flood of circleの、2024年初リリースとなるEP。さらにASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文プロデュース曲も収録されていると聞けば、どれだけの意気込みと覚悟が詰まった作品であるかは想像に難くない。リスナーとしても、なんとなく緊張しながら再生ボタンを押す。……すぐにハッとした。拍子抜けするほど、いつものフラッドだったから。ロックバンドとしてのプライドをヒリヒリするほどに感じさせるサウンドと、佐々木亮介の唯一無二の歌声。そうだ、a flood of circleが覚悟を決めているのは、このタイミング、この作品に限ったことではないではないか。1曲目、“キャンドルソング”で、佐々木はこう歌う。《安定なら死ぬまでないぜ/分かったのさ振り返れば 消えない歌が胸に灯ってるだけ》。瀬戸際でも、暗闇でも、勇み立ち突き進んでいく。それだけ。変わることのないバンドのまっすぐすぎる想いが乗った、重量級の一作。(藤澤香菜)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年5月号より抜粋)
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