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伸びやかで薫り高いギターリフに身を任せ、UKロックを彷彿とさせるバンドサウンドにちりばめられた遊び心を一粒一粒味わっていると瞬く間に引きずり込まれる。今作はメランコリックな情景をポップに歌い上げるMotoの歌唱が一層表現の豊かさを獲得しつつ、それがより脱力した状態で放たれていて爽快。2ndアルバム『Welcome to My Castle』及び同タイトルの武道館公演では自らが築き上げた城にリスナーを招くというコンセプトのもと、極めて享楽的でありながら彼女たちのエッセンシャルな思考が垂れ流しになるような解放感に痺れた。直近ではKERENMIやKlang Rulerのセッション企画にMotoが参加するなど、城を飛び出して外の世界と貪欲にコミュニケーションを取りながらもチリビの基盤となっているロックを軸とした音楽性はより強固なものになっている。《全部もぅやめた/私の自由よ》という歌い出しからして彼女たちの軸がぶれていないことは明白で、デビューから変わらぬその感性と瑞々しさがとろけるほどに眩しい。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
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