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Kroiが活動当初から掲げているテーマ「Dig the Deep」により一層踏み込んだ内容を完成させた。どんどんステージが上がる中でもトレンドの誘惑や目まぐるしい状況に流されることなく、己の尺度で音楽の深層へダイブ。これまで以上に彼らが愛する往年のブラックミュージックやロックをはじめとした多様な国の音楽を深掘って、少年のような憧憬や衝動に高い解像度と技術を掛け合わせてまとめあげた楽曲が並ぶ。1月には武道館公演を成功させたばかりだが、それはあくまで通過点、というよりむしろスタート地点であり、今こそ自分たちが憧れた形で音楽を完成させて世に届けるために踏ん張ろうとするタフさや「てか、そうじゃないとバンドやってる意味なくね?」くらいのスタンスがこの領域に辿り着かせたのだろう。内田怜央(Vo・G)が作る心情がこぼれ落ちた詩、音で描いた景色を具現化する言葉には煌めきがあるし、メロディは益々Kroiのオリジナリティを担っている。長谷部悠生(G)によるグランジ“GAS”には頬が緩んだ。(矢島由佳子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
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