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2022年から2023年にかけて、結成25周年アニバーサリーを全力で駆け抜けたMUCC。逹瑯(Vo)のソロ活動などを挟み、次の一歩に期待が高まる中、彼らが選んだのは3度目のメジャーデビューという驚きの道だった。あえてのエイプリルフールにコテコテの90年代ヴィジュアル系オマージュの写真とともに発表された時は思わず笑ったけれど、メジャーデビューシングル“愛の唄”を聴くと、あの写真は伏線だったことがわかる。華やかなシンセとグランジ感漂うギターリフ、歪んだ愛を歌う耽美なボーカル。BUCK-TICKなど自身のルーツにある80~90年代バンドへのリスペクトを表現することは過去にもあったが、ここまで前面に押し出し、同時にしっかり「令和のMUCCの新曲」としての深みを出せるのは今の彼らだからこそだ。一方、カップリングの“Violet”では歌詞にもアレンジにもさらにレトロな味つけを足し、遊び心強めなのが面白い。平成グッズに囲まれたMVは、一定の世代に超刺さるはず。(後藤寛子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年8月号より抜粋)
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