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公式の「昭和から平成初期に流行したディスコサウンドと令和のEDMサウンドを融合させたダンスナンバー」という評が端的に表す通り、この楽曲のトラックは昭和~平成~令和にかけて栄枯盛衰を重ねた時代ごとのクラブミュージックの音像を混交して作られたものであり、そこに必然性がある。折衷的なダンスビートに乗せ、桑田佳祐は浮かれたメロディに反した醒めたトーンで《女神か?醜女か?魔女なのか?》、《またフラれ「ブサイク」決定》など、今日的視点では眉を顰められるであろう言葉をあえて用い、《Ahh あの時代は天国だった》と過去を懐かしむ。そして、最後には一度落ち着きかけたビートを再起させ、《ちょいと未来へ STEP を踏んで》と締め括るのである。つまり、この楽曲は時代が絶えず過ぎ去っていることを認めつつ、まだ「この先」へ進んでいくことを宣誓する意思表示であるように感じられるのだ。真なる国民的バンドで在り続けるために変わり続けてきたサザンだからこそ、その決意の並々ならぬ重みに胸が熱くなる。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋)
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