むっつりスケベ本領発揮

ゴールデン・シルヴァーズ『トゥルー・ロマンス』
2009年05月27日発売
ALBUM
ゴールデン・シルヴァーズ トゥルー・ロマンス
rockin’on6月号のコレポン通信で中村明美も書いている通り、フリート・フォクシーズのロビンもどうやらベジタリアンだったようだが、最近のインディ・ロックを聴いてて思うのは、肉食えよというか、現実世界での欲望をあんまり感じないということだ。現実世界での欲望を野放しにしたためにアメリカが21世紀に入ってから危機を迎えてきたことはよく分かるし、去年のMGMTは妄想としてロック・スター願望を全面解放することで突破口を作ったと思うのだけど、最終的には現実に帰らざるを得ないのだし、最近はあまりにそういうロックが少ない気がする。その点でビリー・ジョーは、彼もベジタリアンらしいけれど、ちゃんと現実と向き合った作品を作ったのが偉い。

その点で大注目なのが、このゴールデン・シルヴァーズ。牧歌的なイノセンスを湛えるシングル“マジック・タッチ”を最初に聴いたときは、やっぱり品のいい優等生型かと思ったが、アルバムのリード・シングル“トゥルー・ナンバー9・ブルース”の軽薄さと猥雑さが最高。しかも、プリンスに憧れながら、ちょっと本家と較べると、腰の動きがぎこちないのが余計に燃える。このぎこちなさこそ今の時代意識なんだと思う。アルバムではその他にも、ドリーミー・ポップあり、王道を行くバラードあり、80sディスコあり、クラウト・ロックあり、異常なロック偏差値の高さを見せつけているが、徹底的に親切なメロディが、そんなことよりもクラスの好きな女子と話をしたいのですと語っている。以前に別バンドでXLと契約したもののデビューできなかったというリベンジ精神も最高。(古川琢也)
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