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渋谷すばるの新章の始まりを告げるアルバム。自作曲にこだわらず、今作では複数のクリエイターからの提供曲をポップに表現しているが、多くの作詞を担ったmiccaの「渋谷すばる」という人間への深い理解によってだろうか、このアルバムは渋谷の思想や生き様そのものを映し出すようなビビッドな作品となった。そして渋谷の表現の奥底にあるポップネスを存分に引き出すサウンドとメロディは硬い殻を破るようにしなやかでポジティブな「生」への祝祭に満ちる。THE CHARM PARK、フジイケンジ(The Birthday)、宮井英俊、SUI、ha-jらの手による楽曲が渋谷の新たな扉を開けたのだ。そんなポジティブでカラフルなアルバムは、ラスト、渋谷自身の手による“First Song”に着地。まるで1stアルバムで《歌を歌わせて頂けませんか》と切実な声を響かせた“ぼくのうた”へのアンサーのよう。逡巡の日々を経て渋谷はこの曲で《今何も恐れずに歌える》と歌うのだ。これほど歌への喜びに満ちたアルバムにはなかなか出会えない。(杉浦美恵)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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