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WurtSの楽曲は懐かしさと、この先を切り開いていく未来感を兼ね備えているのが特徴的だが、前者を構成する重要な成分のひとつに、時代が変われども人間が捨てられない感情がある気がしている。「恋に落ちる」「他者を愛する」はその最たる例だろう。不可抗力とも言えるそれに、何千年も前から人は突き動かされてきた。我々が未来を動かせるのはいつも、考えるよりも先に自分の心が震えたときなのだ。同曲も、どうかしてる世の中で、素直になれないのに君に会いたいという気持ちが募って仕方がないという衝動を泥くさくも爽やかに描く。ロックアレンジでありながらサウンドデザインはDTMが基盤になっているため、カラフルでポップな音色と歪んだギターの対比も小気味よい。中でもアウトロのソロは、止められない感情の解放を高らかに奏でている。クラップができる箇所なども盛り込まれているため、新たなライブアンセムにもなり得るだろう。イノセントな高揚が、あなたの心臓を鮮やかに射抜く。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年9月号より)
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