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ikuraに加えてAyaseもメインボーカルとして歌唱に参加した新曲“劇上”(ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』主題歌)。YOASOBIにとって初となるこのフォーマットには、当然、大きな意味がある。「小説を音楽にするユニット」という成り立ち自体に「フィクションの中で何かしらの役を果たす」という側面が含まれるし、ikura、AyaseもYOASOBIという装置の中でそれぞれの才能を発揮しているのは周知の通り。このユニットの基本的な構造とドラマの世界観を融合・拡大し、誰もが自分の人生という舞台を演じているというテーマに結びつけたのが“劇上”なのだ。生まれた瞬間から、国籍、性別をはじめとする役割を与えられ、本人の意思には関係なくアイデンティティを付与される状況を真っ直ぐに見つめながら、《野晒しの舞台で/がむしゃらに生きる僕らは美しい》とすべてを肯定してみせる。あまりにもシリアスな現状を煌びやかなポップソングに昇華したこの曲の在り方は、優れて現代的だ。(森朋之)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年12月号より)
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