時代の先を奔る

DOPING PANDA『decadence』
2009年06月03日発売
ALBUM
DOPING PANDA decadence
ドーピング・パンダというバンドのことをただ単に「汗をかけて踊れるダンス・ロック・バンド」と思ってる人は、このアルバムを聴いたら少し腰が引けてしまう一枚かもしれない。けれど、「まだ誰もやったことのない音楽的なチャレンジを見せる、ワクワクさせてくれる存在」と思ってる人なら、新作は喝采ものだろう。当然僕は、後者の方がどんどん増えているだろうと思っている。言葉では言い表せない高揚感、キラキラとしたポップ性、逞しいグルーヴ、奥深くどろっとした世界観……いろんなものが入っている。なかでも大きなハイライトは、ハリウッド映画『Don’t Look Up』全世界主題歌に決定したという“gaze at me”。ダーク&ゴシックなエレクトロ・ナンバーは、これまでのバンドの枠組みを吹っ飛ばし音楽家・yutaka furukawaとしての意地と才能を示すような強力な一曲だ。

ビークル・ヒダカ参加の疾走感あふれるパンク・ナンバー“Lost & Found”など、ライブでのアンセム化必至な楽曲も収録。ただし、どの曲も決してポップに甘えていない。仕掛けと魂胆に満ちている。とても貪欲なアルバム。(柴那典)
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