右も左もブルックリンブルックリン騒いでいるけど、「ブルックリンっぽい」――ざっくりいうならエクスペリメンタル、でもポップ――バンドは、もうけっこう淘汰されている。ブルックリンのシーンから頭ひとつ抜け出るバンドには、ちょっと違うポップさがないといけない、というムードはMGMT以降、もっと強くなっているようだ。そんなわけでブルックリン発、MGMT&チェアリフトと通っていた大学が同じということもあって、彼らに続くか?と目下注目を浴びているアメイジング・ベイビーだが、これはいい。グリズリー・ベアあたりにも通じる、万華鏡越しに立ち上る、ピンク・フロイド『狂気』ばりのサイケデリアが最高。そしてときおり、ポスト・パンクの冷ややかなビートが飛び出したり、ブリットポップ期のパルプのような、ゴージャス&ニヒリスティックな雰囲気が覗いたり、T.レックスのグラマラスさもまとっている。また、M6でのエレクトロニックの採り入れ方など、スーパー・ファーリー・アニマルズをも思い出させる折衷性もある。デビューとしてはあまりにクオリティが高く、余計なお世話だが心配になるくらい。(羽鳥麻美)