ただそれは悠長で、楽天的な作品ではない。時にガルシア・マルケスの描く砂漠の世界のような、不毛さと幻想が混じった地に取り残された感覚をも歌い、また磁石のきかない荒野に立ち尽くす歌も、歌う。そのゆったりとしたビートや柔らかなギター、ソフトな歌声で、ふと陥る不安や心の闇を綴っていく。もしかしたらその寄るべのない感覚は、幼少期を海外で過ごした彼の心の原風景のようなものかもしれない。そしてその心の隙を《砂漠に今夜 雨が降る》(“Beautiful Losers”)と、自らの音楽で満たしてもいくのだ。プライベートな空間で作られたからこそ、メッセージ的音楽のなかに、彼自身の姿がよりくっきりと見える作品になっていると思う。(吉羽さおり)
日々の旅と心の旅
Caravan『Luck and Pluck』
2009年09月30日発売
2009年09月30日発売
ALBUM
ただそれは悠長で、楽天的な作品ではない。時にガルシア・マルケスの描く砂漠の世界のような、不毛さと幻想が混じった地に取り残された感覚をも歌い、また磁石のきかない荒野に立ち尽くす歌も、歌う。そのゆったりとしたビートや柔らかなギター、ソフトな歌声で、ふと陥る不安や心の闇を綴っていく。もしかしたらその寄るべのない感覚は、幼少期を海外で過ごした彼の心の原風景のようなものかもしれない。そしてその心の隙を《砂漠に今夜 雨が降る》(“Beautiful Losers”)と、自らの音楽で満たしてもいくのだ。プライベートな空間で作られたからこそ、メッセージ的音楽のなかに、彼自身の姿がよりくっきりと見える作品になっていると思う。(吉羽さおり)