『グレイテスト・ヒッツ』と題されたフー・ファイターズのベスト盤。この秋は本当にベスト盤が多い。そして、ベスト盤はベスト盤でしかない、というのも分かる。けれど、フーファイだけはなぜだかムキになってしまう。94年に彼が15年後、本当にヒット曲だらけのベスト盤を発表するなんて誰が予想できたか。5年、10年ではなくて、15年という歳月が本作の重みを物語っている。
デイヴはこの15年間、よく笑ってきた。インタビューに赴けば、どのメンバーよりも先に握手を求めてきた。ステージの上では、波のように押し寄せるオーディエンスをその胸に迎え入れるように鼓舞した。そして、完全にバンドとしての信頼関係を構築したメンバーと、くだらないジョークで笑うのだ。その姿は、アメリカ人の明るい陽気なおじさんそのものだった。でも、当たり前だが、そんなはずがあるわけがない。彼は僕達も経験した絶望の最もそばにいたのだ。彼は笑いたくて笑っていたわけじゃないのだ。笑うしかなかったのだ。そうでなければ、前に進むことなどできなかったから。時を経てだいぶ整理がついてから、彼らがアコースティック・アルバムを作ったのはよく分かる。
なんで“アイル・スティック・アラウンド”が入ってないのかはよく分からないが、それも漏れてしまうぐらいの名曲集。なのでDVD付の初回盤をお薦めする。こっちにはPVで収録されている。(古川琢也)