どこか無責任な爆発力や、誤解も含めてのポップさまでも武器にしていたロックンロールなファースト『andymori』とは、思いきって別のところにフォーカスを当てているセカンド。生まれてから現在までという縦軸と、個人の意識から社会全体の無意識までという横軸の両方をフルに広げて、その巨大なレンジの中から、答えられるはずのない答えを歌おうと、ひたすらに言葉とメロディを綴ったセカンドアルバム。表現者としての自分を制限することなく、危うい場所へと自分の背中を蹴飛ばしながら進んでいく小山田壮平の、無謀なバンド・ドライビングが露呈した展開だ。しかし、メンバーは余裕でついてきているし、ファンもその読めない展開で時代の本質を射抜く小山田のセンスに勘付いているようだ。この『ファンファーレと熱狂』は、さらなる賞賛の下にロックファンに迎えられることは、まず間違いない。そして、僕が期待するのは、そんな彼らの一瞬、暴投覚悟のように見える展開が時代を先回りして、通りすがりの人々にも無差別に刺さるという現象が起きることだ。今回のアルバムもその可能性を大いに秘めている。(古河晋)