最新ツアーのベルギー公演を中心としたライブは新曲“スターズ・イン・スティル・ウォーター”で始まるのだが、これを含めて新曲が5つも含まれており、その面でも興味が惹かれる。彼のような音楽性の場合、まず音世界を完璧に構築することに固執しそうなものだが(実際、そういう人の方が多い)、それほどこだわりはないようで、一つの大きな空気感を作ることに主眼が置かれ、それは傑作『ゴー』からの“コルニーズル”“トルネード”“シンキング・フレンドシップス”、あるいは“ゴー・ドゥー”“ボーイ・リリコイ”“アニマル・アリスメティック”といった風にまとまって演奏されることでみごとに証明される。
映画『ヒックとドラゴン』に使われた“スティック・アンド・ストーン”などを含むリズミカルなナンバーが増える後半にはファンタジックな昂揚感が溢れている。(大鷹俊一)