ユー・キャン・ドゥ・エニシング今回のインタビューでの写真を見て、まずアビちゃんがジェニファー・アニストンみたいに小麦色に焼けているのに軽く驚愕。LAレコーディングの余波はここにまで……なんて大きなお世話なことをあのすらーっと長い足を眺めながら思ってしまった。イギリスを飛び出し、燦燦と輝くLAの太陽の下製作されたという3枚目のアルバム『ユー・キャン・ドゥ・エニシング』。単なるリバイバリストと呼ぶには独創的すぎるサウンドでシーンに切り込んだ1st、そこからさらに奔放さを増しながらトップ・チャートにまで躍り出てしまった2ndに比べるとなんだか落ち着いた感じが漂ってくるのだが、じゃあダメなのかといえば全然ダメじゃない。アクの強いレトロとアクの強いモダンを掛け合わせた魔法の音楽と嬉々として戯れていたのがこれまでならば、本作では彼らの内側から沸きあがってくる表現欲をトリムして、一番美しいロックンロールの形に仕上げようというバンドの意識が伝わってくる。結果すごく風通しがよくなって聴きやすいのに、一音一音の放つきらめきはより光度を増して迫ってくる。最初は意外に思ったけど、いいアルバムです。(林敦子)