突き抜けたメロディライン

Galileo Galilei『僕から君へ』
2011年01月19日発売
SINGLE
良質なポップミュージックだけが生む疾走感がある。吹き抜ける風と、仲間たちのざわめき声――その光景はあくまでも澄んでいて美しい。ガリレオ・ガリレイに期待するのは、そんな抜きん出たポップメイカーとしての活躍だ。

デビュー時より、類まれなメロディセンスと瑞々しい演奏を評価されてきた彼ら。この3枚目のシングルでは、そんな原石のような才能に加え、比喩を巧みに用いるストーリーテラーとしての側面も出てきているように見える。1曲目の“僕から君へ“では、「大人になれない子供達を乗せた汽車」という魅力的なモチーフを反復しながら、その場の空気の匂いや胸の鼓動まで伝わるようなフレーズを重ねていく。2曲目の“桃源郷”は混沌とした胸のうちを明かすロック色の強い内容だが、伸びやかなギターサウンドとともに走り出す中盤~後半部には、このバンドならではの透明感がある。

彼らが可能性を感じさせる理由は、なにも17歳~20歳という年齢のせいだけじゃない。七色のメロディを操りながら、リアルでありながらもドリーミーな世界を生み出してくれるはずだ。(神谷弘一)