ここから「僕と君」がはじまる

Galileo Galilei『パレード』
2011年02月16日発売
ALBUM
3rdシングル『僕から君へ』に続いて、遂にリリースされるGalileo Galileiのフルアルバム。メジャーデビュー・ミニアルバムから約1年だから、慎重に制作を進めているのかな、と思っていたけれども、一聴してすべて合点がいった。とにかくクオリティが突き詰められた作品だ。従来のガリレオ観が根本的に覆されるぐらいのクオリティ、と言ってもいい。尾崎雄貴のソング・ライティングはもともと高い期待を寄せられるレベルにあったが、練り込まれた多彩で奥行きのあるサウンドと、そしてバンドとしての躍動感が楽曲群に持ち込む生々しい息遣いに何度もハッとさせられる。

冒頭“僕から君へ”の後にガリレオでしかあり得ない「ロック・バンドが生まれる瞬間」を捉えて描き出した“稚内”などは、跳ね上がるドラムの一音までが祝砲のように聴こえる。古今東西のギター・ロック/ポップの意匠に手を伸ばしながら、その中の誰を目指そうともせずに自分たちの居場所に踏みとどまって音楽を生きるためのツールにしているのだ。最初の一歩を彼らと共に踏み出せる、若きリスナーが羨ましい。(小池宏和)