成長と自信

サカナクション『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
2011年07月20日発売
SINGLE
サカナクション バッハの旋律を夜に聴いたせいです。
今年2枚目のシングル。こうしてシングルという形で、常に変容/進化を続けるバンドの現状を報告しようとするのが彼ららしい。四つ打ちをベースに、クラシカルなピアノのフレーズや特徴的なコーラスなどをちりばめたアレンジは、サカナクションらしいと言えるものだが、大バコ向けの賑やかなスケール感のあるアンセムに仕上がっていた前作“ルーキー”に比べても音数は少なく、音圧も控えめで、シンプルな印象を受ける。そのぶん際だつのが山口のヴォーカルで、これまで以上に「歌もの」としての存在感が強い曲になっているのだ。これまで彼らは歌にフォーカスするというよりは、作り込んだサウンドの緻密さやヴィジュアルも含めた総合的な表現を目指しているように思えたが、たぶん山口のヴォーカリストとしての成長もあり、これまで以上に「歌を聴かせよう」という意識が強くなっているように思えた。
 
あらかじめ決められた恋人たちへの新作を聴いて、サカナクションの影響を感じたが、彼らの影響力は思わぬ形で深く静かに潜行しつつある。今作のもたらすものも、たぶん大きいはず。(小野島大)
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