アーティスト

    何度目かの「はじまり」

    エレファントカシマシ『ワインディングロード/東京からまんまで宇宙』
    2011年11月16日発売
    SINGLE
    エレファントカシマシ ワインディングロード/東京からまんまで宇宙
    軽やかなアコースティック・ギターのストロークに乗せて、さり気なく宮本浩次が歌い出す。《長い道を行く/古えの光 ムーンライト/手探りで何かを探す夢から覚めて》……音数を抑えた抜けのいいアレンジと隣の人に話しかけるようなヴォーカル。はっとするほど新鮮で、瑞々しいエレファントカシマシである。
     
    今夏のロック・イン・ジャパンでのエレカシのライヴは最高の出来だった。こんがらがることものたうち回ることもなく、今鳴らすべきロックと今鳴らしたいロックを、きわめてクリアに提示し切っていた。そんな迷いのなさが、このシングルの2曲には直反映されている。《諸刃で行くぜ 気を付けな 言うなりゃ愛のかたまりさ》(“ワインディングロード”)、《瞬間で全て愛する 俺は今を生きる》(“東京からまんまで宇宙”)。宮本は躊躇なく言い切っている。それは“悲しみの果て”の壮絶な決意とも、“俺たちの明日”の力いっぱいの宣言とも違う。彼らはこれまでに何度も「はじまり」を歌ってきた。このシングルに刻まれた「はじまり」は、どんな物語を生み出すのだろう。久々にわくわくしている。(小川智宏)
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