■第一声にして完成形
昨秋リリースの『12オッド・フューチャー・ソングス』がデジタル配信のみだったことを考えても、ようやくというのが本音のところ。オッド・フューチャー名義のメジャー・デビュー作であり、初のフィジカル・リリースが本作になる。ヴィデオ・クリップをはじめとする彼らの奔放なやり方から考えると、実に真っ当な18曲が並んでいて驚かされるというか、メンバー自身もこれが「デビュー作」と数えられることは充分に分かっていたのだろう。つまりシンプルなトラックに、最高にヤバいリリックが乗るという彼ららしさはそのままに、その完成度たるや半端じゃない。ウータン・クランなんかを考えてみても、クラウド型のこうしたグループはメンバー個々人の事情が反映されやすく、ここまでまとまりを持ったオッド・フューチャーのアルバムは、これが最初で最後になる可能性だってある。なによりオッド・フューチャーとは何か?という答えがそのままアルバムになってしまったようなハイファイな作品としての佇まいがすごい。タイラーはもちろん、ドモ・ジェネシスやホジー・ビーツも本領発揮。聴き継がれていくアルバムになると思う。(古川琢也)
第一声にして完成形
オッド・フューチャー『ザ・オッド・フューチャー・テープ Vol.2』
2012年04月18日発売
2012年04月18日発売
ALBUM