そして届けられた新作は、あの『アンチクライスト・スーパースター』から15年の歳月を経て、まさに原点回帰のアルバムになった。とは言っても、90年代のゴス/インダストリアル/ヘヴィ・ロックをまとめて蹂躙するギラギラしたポップ感ではなく、さらにその前のバウハウスやボウイの影響下で、暴力性と文学性を巧みにまとめあげていくようなサウンドが興味深い。前作でベースからギターに転向したトゥイギーが作曲の要となり、よりバンドとしての充実感があることが、こういうプロダクションに繋がったのだろう。また、歌詞のインスピレーションが『マクベス』と『悪の華』という高潔さにも、もはや由緒正しい「悪役」としての姿勢の正しさに頭が下がる。やはり、マンソンほど自己イメージにマジメな人はいないのである。噂のジョニー・デップ参加曲"うつろな愛"も中々の出来。(松村耕太朗)
悪党、心機一転のアルバム
マリリン・マンソン『ボーン・ヴィラン』
2012年04月25日発売
2012年04月25日発売
ALBUM
そして届けられた新作は、あの『アンチクライスト・スーパースター』から15年の歳月を経て、まさに原点回帰のアルバムになった。とは言っても、90年代のゴス/インダストリアル/ヘヴィ・ロックをまとめて蹂躙するギラギラしたポップ感ではなく、さらにその前のバウハウスやボウイの影響下で、暴力性と文学性を巧みにまとめあげていくようなサウンドが興味深い。前作でベースからギターに転向したトゥイギーが作曲の要となり、よりバンドとしての充実感があることが、こういうプロダクションに繋がったのだろう。また、歌詞のインスピレーションが『マクベス』と『悪の華』という高潔さにも、もはや由緒正しい「悪役」としての姿勢の正しさに頭が下がる。やはり、マンソンほど自己イメージにマジメな人はいないのである。噂のジョニー・デップ参加曲"うつろな愛"も中々の出来。(松村耕太朗)