美メロ、ここに極まる

キーン『ストレンジランド』
2012年05月09日発売
ALBUM
キーン ストレンジランド
04年、カー・ラジオから流れてきた彼らのファースト・アルバム収録曲を初めて聴いたとき、時系列の感覚が一瞬おかしくなった。ぼくが子どもだったころ(70年代)、ちょっと背伸びして、20代のお兄さんたちの少し憂いを帯びたエモーションにふれたときの記憶が強烈にフラッシュバックした。分類や定義といった行為に染まってしまう以前の、まっさらなポップ体験。UKの(ピアノ、ヴォーカル、ドラムスという編成の)若手バンドによる音楽と知って驚いた。これは、フル・アルバムとしては4年ぶり、4枚めとなる作品。ファースト以来久々にそんなノリが前面に出ているようだ。オリジナル・メンバー3人は幼少期からの友人どうし。当時彼らのたまり場だったところの近くで録音された。うってつけのシチュエーションではないか。2年前にメイン・ソングライター、ティムが別ユニット、マウント・デソレーションで試みていたオーガニックな音作りも、同年の傑作ミニ・アルバム(YMOのカヴァーにびっくり!)におけるピュア・エレクトロニック・サウンドも、ここに至るため必要だったとわかる。まさにキーンの真骨頂だ。(伊藤英嗣)
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