生きる理由全てを刻むような雄弁さ

THEラブ人間『恋に似ている』
2012年05月16日発売
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THEラブ人間 恋に似ている
強くて美しいアルバムだと思う。《女を酔わせて朝まで安ホテル》だの、《故郷への列車に夕暮れと飛び乗り/ふがいない男は帰る/財布には20円》だの、《ふたりのハートは真赤なりんご》だの、ぶっちゃけキモチワルイし甘ったるいししみったれてるしダサいし……ああ~もうっ!と身悶えずにはいられないのだが、それでも聴き終えて思うのは、強くて美しいアルバムだ、ということなのだ。悔しい。でも、こんなに真正直で、傷だらけで、泣き笑いしながら人生の道を進んでいくマーチングバンドみたいなバンド、他にいない。THEラブ人間のファースト・アルバム『恋に似ている』に込められているのは、「生きること」のリアリティなんかじゃなく、リアルそのものである。フォークであり、ロックであり、ポップスであり、美しいメロディとセンチメンタルなヴァイオリンの音色と刺激的なアンサンブルが響くバンドサウンドもいい。そして《愛ってかなしいね/でもいつかまた逢えるから愛って嬉しいね》という、孤独を受け入れた上で生きることを決めた歌。人生を祝福する、眩しいエネルギーに満ちている。(福島夏子)
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