意義を持つトリビュート盤の誕生だ。80年代後半から、日本のロックシーンのオルタナティヴ道を切り開いてきたヤマジカズヒデ率いるdipのトリビュート盤。dipというバンドが如何に名曲を産み落としてきたか、そして、いかに大きな影響を与えてきたか。その回答が、今作には詰まっている。花田裕之、井上富雄、池畑潤二という、dipの先輩たちによる“SLUDGE”。チバユウスケ、クハラカズユキ、TOKIEに、ヤマジ本人が加わった、今作限りの豪華同世代プロジェクト=dip JAPANによる“FASTER,FASTER”。さらには、dipを追い掛けてきた後輩たちの愛が溢れるカヴァーや、ヤマジのソロによるセルフカヴァーも収められた全9曲。個人的には、GS的な“SUPER LOVERS IN THE SUN”をPOLYSICSがカヴァーするという人選、そして“no man break”の美しき儚さを際立たせたような木下理樹のアレンジに唸らされた。激しさ、甘さ、暗さ、ユーモア、リアリティ……私がロックに求める、あらゆる要素を内包したdip。尽きぬ憧れを、今作を機に、もっと多くの人と分かち合えればいいな。(高橋美穂)