自分からの旅立ち

ジョン・メイヤー『ボーン・アンド・レイズド』
2012年06月27日発売
ALBUM
ジョン・メイヤー ボーン・アンド・レイズド
10年のキャリアで7つのグラミー賞を獲得するなど、シンガー・ソングライターとしてもギタリストとしても確かな評価と人気を手にしてきたジョン・メイヤー。全米初登場1位を記録した前作『バトル・スタディーズ』から2年半、通算5作目の新作はドン・ウォズとの共同プロデュースで、ぐっと成熟した雰囲気の漂うアルバムだ。タイトル・トラックにはデヴィッド・クロスビーとグラハム・ナッシュがヴォーカルで参加していて深みを与えている。

瞑想のようなメロディとサウンドに、内面をじっと見つめた歌詞が重なって、正直な言葉の流れの中にときにはっとさせられる真実が浮かび上がる。旅の歌で始まる今作は、彼にとっての新たな旅立ちでもあるようだ。ミュージシャンとしてだけでなく、音楽以外でもセンセーショナルな話題が先行したり、成功と名声とそれにまつわるすべての経験を乗り越えた今、攻めの姿勢は変わらなくとも、“シャドウ・デイズ”を抜け出したようなどこか穏やかな境地が感じられる。喉の手術でリリースが延期になっていた今作だが、その後再び悪化して春のツアーがキャンセルされていて心配。(網田有紀子)
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