これは大物です

マイケル・キワヌーカ『ホーム・アゲイン』
2012年09月19日発売
ALBUM
マイケル・キワヌーカ ホーム・アゲイン
アデルのツアーに抜擢され、英国メディアが軒並み次代のVIPとして絶賛する。ウガンダ移民の子としてノース・ロンドンで育った24歳だ。音楽にまったく関心のない両親に育てられたという彼の音楽は、フォークやソウル、ポップス、ジャズ、ロックなどを、実に自然でフラットな感覚でもってなめらかに紡いでいく。彼自身の弾くアコースティック・ギターなど生楽器中心のアンサンブルを展開。サウンドの作りとしては70年代前半のフォーキーなソウルやシンガー・ソングライター系に近いが、単にノスタルジックな響きというよりは、人々の共通の記憶の一番気持ちのいいところを刺激されるような感覚がある。音の質感はモダンで清新。オーガニックで風通しの良い声の魅力と、瑞々しく温かみのある楽曲の説得力が圧倒的だ。明確な黒人らしさも、出自にまつわるようなディープなルーツ感もないが、それがかえって時代性や地域性を超えた普遍的な表現たりえている。

今年のフジ・ロック・レッド・マーキーに出演。たぶん今後この規模の会場で観られることはないだろう。うっかり観逃したオレは激しく後悔してます……。(小野島大)
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