この先行シングルは、来るべきニューアルバムでの神聖かまってちゃんの変化を予告している気がする。“知恵ちゃんの聖書”は、布教する少女、自殺願望、考えすぎといった要素がぐるぐる回る内容である。教会のオルガンのようでも賛美歌のようでもあるシンセが、詞にあっていて効果的だ。これに対し、同時収録の“おっさんの夢”は、歳をとっていく自分を歌っており、“熱いハートがそうさせないよ”はサッカーを題材にした青春もののパロディみたいな内容。リード曲以外の2曲はいずれも彼らの得意なタイプのロックンロールであり、の子によるいびつな詞、ギター演奏とmonoの素直なキーボードの対比が魅力。
一般的に、思春期や青春の代弁者的な立ち位置になったアーティストは、キャリアを積むと、幼さや若さを客観視する時期に入るものだ。少女を主人公にしたよくできた物語、青春もののパロディ、歳をとった自分の想像というこれら3曲を聴くと、好き放題やり続けてきたの子も、幼さや若さを微妙に客観視し始めたのではないかと興味津々である。新作が楽しみだ。(遠藤利明)
変化の予兆?
神聖かまってちゃん『知恵ちゃんの聖書』
2012年10月10日発売
2012年10月10日発売
SINGLE