一億総マイノリティ

クリープハイプ『社会の窓』
2013年03月06日発売
SINGLE
クリープハイプ 社会の窓
尾崎世界観の書く歌詞はカオティック。色んな人の色んな感情が、本来組み合わせちゃいけないピースで構成されている。“社会の窓”に関しても、「あたし」はとても複雑な感情を抱いている。大好きだったバンドがオリコンのチャート入りをして、誰にも理解なんてされたくなくてマイノリティでいたかった自分や、誰にも言えないことを抱えたヒロインでありたかった気持ちを傷つけられている。普通の声で普通の恋を歌えばいいのに可哀想なんて批判めいたことを口にしながら、普通ではいられない「あたし」こそが共感している。そして、そんなことを言われる立場であるミュージシャンの気持ちも随所に盛り込まれ、《愛してる 今を愛してる》なんてキラーフレーズとポジティヴなサウンドで皮肉は雪だるま式に重なり、得体の知れないエネルギーを生み出している。ちょっとディスコ調なコーラスなども入ったことで、ウルフルズの90年代のヒット曲“ガッツだぜ!!”を思い出した。“社会の窓”は、自分こそがマイノリティだと思いながら2013年を生きるすべての人を傷つけつつ、応援ソングとしても機能する。すごい。(上野三樹)
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