本当の無法地帯はこんなにも自由

ザ・ナイフ『シェイキング・ザ・ハビチュアル』
2013年04月08日発売
ALBUM
ザ・ナイフ シェイキング・ザ・ハビチュアル
待ちに待った7年ぶりの新作。とはいえその間にはオペラ作品もあったし兄妹のうち妹:カーリンのフィーヴァー・レイもアルバムを発表した。何より『サイレント・シャウト』がピッチフォークで06年のトップ・アルバムに選出されて以来、ナイトメア・ポップやチルウェイヴetc、エレクトロニカの新タームが次々と生まれる度にザ・ナイフの名前がよく引き合いに出されてきたから、不在だった感じがしない。活動休止中に評価を上げたバンドが帰還するとき、そのバンドらしい作品を携えて戻ってくることが多い。それはやはり、求められてシーンに帰還するケースが多いからだろう。しかし、本作は、作らずにいられなかったアルバムだというエネルギーを感じさせるのだ。そのエネルギーが凄まじい。プリミティヴを通り越して、一体世界のどこで鳴っているのかと途方に暮れるようなリズム、ビート、楽器。これまで、カットアップされたり歪んでいたり、大きく前面に出つつもカーリンの声はどこか生身離れしていたが、本作ではふつふつと湧き上がる怒りや悲しみが極めてスマートに吐き出される。再び新たなエレクトロニック・ミュージックの革命。(羽鳥麻美)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする