どうあれ、期待を裏切らない男

カール・ハイド『エッジランド』
2013年04月10日発売
ALBUM
カール・ハイド エッジランド
美しいアルバムだ。作ろうと思えばもっと早く作ることが出来ただろうし、そのために必要な能力とアイデアは持ち合わせていたはずである。思うに、カール・ハイドはアーティストとしての自己主張を、周囲の期待との折り合いを付ける形で発揮し続けてきた人なのではないか。『トレインスポッティング』からオリンピックへと至るサントラ仕事や、アンダーワールドでの一貫してサーヴィス精神旺盛なパフォーマンスを思い返すと、そう思わずにはいられない。だから、アップリフティングなダンス・ビートから解き放たれたカールのナイーヴな詩情と歌心、そしてサウンドスケープが全開になったこのソロ作においても、ベテランのしなびた趣味作に陥ることはない。絶対的に充実したリスニング体験をもたらしつつ、こういう作品を作りたかったというカールの気持ちまでがひしひしと伝わってくる。

あくまで歌の呼吸を軸に、生楽器とエレクトロニカを折衷して構成された楽曲たちは、それぞれ弾き語りでも充分美しいのではないかという完成度を誇っている。SonarSoundとA Taste of Sonarでの4月の公演は、やはり必見である。 (小池宏和)
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