ロンドンをベースに活動を続ける3ピースの2年ぶりのセカンド。前作時の彼らはキツネ所属のギター・バンドであること、また、トゥー・ドア・シネマ・クラブの大ブレイクの余波を受けたタイミングも重なり、文字通りUKクロスオーヴァーの新鋭、トゥー・ドア・シネマ・クラブの後継者の典型に則り登場したし、実際彼らのデビュー作はそれ以上の形容がし難い「よくある」タイプのダンス・ロックだった。翻って「ブリットポップと70年代サイケへのオマージュ」なるコンセプトを掲げて作られた本作、まずはキツネ派閥の家紋のごとき4つ打ちのピコピコしたシンセと、軽妙軽薄なアフロ・ポップはなりを潜めている。何処らへんがブリットポップへのオマージュかと問われたらヴォーカルの声質がデーモン・アルバーンに似ているぐらいな気もするが、サウンドのポップさがリズムの反復による刷り込みではなくきっちりメロディの良さで生み出されるようになったのが◎。前作は「キツネ・コンピに入ってる曲だけ聴けばいいかな」というDJ的なものだったが、今回はアルバム総体として評価すべきという点でも、オーセンティックなロック・バンド的一枚と言えるかも。(粉川しの)