ブラック・ローゼズ通算5作目の『デッド・レターズ』(03年)でフィンランドから世界制圧へ乗り出したザ・ラスマスが、前作『ハイド・フロム・ザ・サン』(05年)から約3年を経て完成させたニュー・アルバム。一度で頭から離れなくなる切ないメロディとヘヴィなギター・リフの強烈な合わせ技で、確固たるスタイルと地位を手にした彼らだが、前作の後で「本当に燃え尽きてしまった」のだという。本作ではプロデューサーに伝説的ヒット・メイカーのデズモンド・チャイルドを迎え、共作したリード・シングルM1はギターが一歩後ろに下がったエレクトロニックなサウンドで、ラップ・スタイルのボーカルも取り入れた新鮮さに驚いた。と言ってもM3などこれまでの得意技を生かした曲も健在だし、ミッドテンポでボーカルとビートを前面に押し出したM4、ストリングスが響くドラマチックなM8、前作の“セイル・アウェイ”のようなバラードM11など振れ幅も大きく、試行錯誤の印象も否めないにしても、自由に自分達のやりたい音楽に向き合った風通しの良さがある。石の黒いバラが大きく花開いたその奥に何が見えるのか、大いに期待させられる。(網田有紀子)