3月に行われたZeppツアーの内、3月29日の東京公演を収録。最新アルバム『ZOOLANDER』の曲を中心としつつ、代表曲も随所で飛び出す。バンドメンバー、ダンサー、観客と共にleccaが作り上げたステージは、こうして映像で触れてもたくさんの元気を貰える。音楽が我々に届けるエネルギーの形はいろいろあると思うが、彼女の歌から強く感じるのは「母性」とも言うべき柔らかな力だ。怒りや不安の対象に対して握った拳を突きつけるのではなく、自分自身の気持ちを前向きな方向へと転じながら進もうとする姿勢が、彼女のあらゆる曲には漲っている。敵を見つけて力任せにねじ伏せるのではなく、つまらないものを乗り越えて進むためのしなやかなステップを彼女の歌、言葉、鳴り響くメロディ、ビートは教えてくれる。“Golden Lion”“TODAY”“get on”など、この日のライヴでも素敵な瞬間は尽きない。“マタイツカ”は、あの現場にいた人は勿論、DVDを観た人にとっても忘れ得ぬものになるだろう。leccaの音楽に触れたことがない人にも、ぜひ本作を観て欲しい。きっと何かを感じるはずだ。(田中大)