2月に他界したトニー・シェリダンを追悼して日本でリリースされたシングル・ボックス。トニーと言えば、ドイツのハンブルクでザ・ビートルズの才能を発掘し、自分のレコーディングにバック・バンドとして使った事でも有名なので、この時期のビートルズの音源をまとめて聴けるというボックスでもある。これらの音源のコンピレーションならこれまでも数種リリースされてきているわけだが、今回は各シングルのオリジナル・ジャケットまで再現したシングル集になっているところが、トニーへの手向けとなるマニアックな趣向となっているのだ。さらにヴァージョン違い音源などもすべてシングルごとに編集されてあるので思いのほか聴きやすい。トニーとビートルズというカップリングの画期的な点は、トニーがエルヴィス・プレスリーやエディ・コクランらに通じる古典的なロックンローラーであるのに対して、ビートルズはまるで新しいギター・ロック的感性を備えていたところ。ほかのコンピだとビートルズに比重が置かれるのに対して今回はトニーに比重が置かれているためその対比がなおさらわかりやすくなっている。 (高見展)