アジカンの伊地知潔を中心に結成されたPHONO TONESによる2ndアルバム。ペダルスチールギター、キーボード、ベース、ドラムによる編成で、開放感溢れるオーガニックなインストナンバーをたっぷり堪能させてくれる。歌うように奏でられるメロディをリードしているのは、ペダルスチールギター。ハワイアンやカントリーミュージックのイメージが強い楽器だが、このバンドのアンサンブルと融け込む中で、ジャンル、国籍、時代性を超越した風味を醸し出している。果てしなく広がる草原でダンスパーティーでも開いているかのような牧歌的なムードで包んでくれる“Little Foot Andes Penguins”。中華風ソースで味付けされたダブとディスコの融合形……とでもいうような“Saturday少林Fever”。往年の刑事ドラマのような燻し銀のハードボイルドなメロディに、疾走感溢れるアレンジを施した“石川町ファイヤー”。……などなど、新鮮な切り口の楽曲が並んでいる。刺激的なのは勿論だが、何よりも聴いていて楽しい! ちょっとでも興味がある人は、ぜひ聴いて欲しい。きっと好きな音楽の幅が広がるはずだ。(田中大)