初期衝動からの逸脱

ノー・エイジ『オブジェクト』
2013年08月07日発売
ALBUM
ノー・エイジ オブジェクト
現LAのアート/DIYパンク・シーンの象徴的存在として愛される2人組、待望の4thフル・アルバム。今回は「歌うドラマー」ことディーンがべースに挑んでいるそうで、サウンドスケープにおける新機軸を模索しようとする意志はよりクリーンさを増した音作りと的を絞ったソングライティングに反映されている。

そのぶん一触即発のインパクトは弱まったと言えるし、オープン&脳天直下な電撃ノイズ②、ラモーンズを想起させる⑤⑧のヴォーカルなどノー・エイジらしいダイナミズムは随所に健在ながら、旧作(特に『ノウンズ』におけるローファイなウォール・オブ・サウンドの斬新な衝撃)をしのいではいない。だが淡々としたリフが紡ぎ出す①④の絶品な美、あるいは作品後半に顕著な実験的な音とアブストラクトなコラージュのコントロールぶりは音楽的な成長を物語ってやまないし、彼らがバズコックスやハスカー・ドゥといった知的で変化や挑戦を恐れなかったパンク・バンド―スリー・コードでがなるだけではない―の系列に連なる連中であるのが伝わってくる。その勇気ある発展から目を離せない、スリリングな音の冒険者たち。 (坂本麻里子)
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