ワンダーランドに辿り着いたMGMT

MGMT『MGMT』
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ALBUM
MGMT MGMT
今さらヴァンパイア・ウィークエンドと比べるのもナンセンスかもしれないが、インディ界のカラフルなホープとして同時期にニューヨークから登場した2組の奇しくも同じ年にドロップされたサードがまったく対照的な作品なのが面白い。ヴァンパイアのリスナーの対象を広げた攻めの作品に比べて、MGMTはまるで対象のことを気にしていないアルバムを完成。デイヴ・フリッドマンと再び組み、バンド形態にこだわった前作とは違い、あくまでアンドリューとベンのふたりの化学反応が重視された『MGMT』は、独自のサイケ・ワールドをくまなく追求した、まさにケミカルな1枚。それこそシド・バレットからビートルズ、スペースメン3にフレーミング・リップスといった偉大なる先人たちの異次元トリップに憧れて自分たちもワンダーランドを目指して旅立ってみたものの、もちろん旅行ガイドがあるわけもなく、迷走した中で辿り着いた彼らならではの新境地が刻まれた作品である。そういう意味で、とことん私的な作品ではあるのだが、この号のインタヴューでも語られているように、この旅は彼らにとっては必然だった。そして摩訶不思議な作品がとことん感動的なのは、彼らのその偽りのない物語に由来している。

不思議なことにその点、つまり“内なる旅”という点では、これまでになくエズラの内面が吐露されたヴァンパイアの新作とリンクしている。そうやって3枚目でようやくその本性を露にしたMGMTとヴァンパイア。冒頭で今さら比べるのがナンセンスと述べたが、そもそも最初から本質的にふたつのバンドはまるで異なっていたのである。 (内田亮)
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