ヴィジュアルは壮観。相変わらず超優秀なクリエイティヴ・チームを従えているのか、映像と照明とセットがめくるめくダークな夢幻世界を展開する。大聖堂のステンドグラスから聖母マリアが降臨するオープニングの演出は、ピーター・グリーナウェイの映画のようだ(なぜか全編にわたって英国風)。エジプトの鳥頭神トートを思わせる僧たちが並んでいるのも意味深だ。そして血、殺戮、戦争のイメージ。ステージを観て体験するのは現実逃避の世界ではなく、痛いほど明瞭な「リアル」なのだ。その傾向が強まっていると感じた。
27人のエリート・ダンサーを従え、苛酷なダンスをクールにこなしながら観客を熱狂に導く姿は、明らかに強い使命感に貫かれていて、エンターテイメントは「警告」であり「覚醒」なのだと実感した。マドンナは今が一番凄い。(小田島久恵)