アーティストがよく出演するアメリカの人気番組『レイト・ナイト・ウィズ・ジミー・ファロン』にエルヴィス・コステロが出演した際、番組の箱バンを務めているザ・ルーツと気が合ったのがきっかけとなって始まったのがこのコステロとルーツというコンビでのコラボ・プロジェクト。実はルーツのクエストラヴは熱狂的なコステロ・ファンでもあって、ある意味でこのプロジェクトはクエストラヴの暴走で実現した企画だといってもいいが、その情熱のおかげでコステロの魅力の一番のいいところを引き出した作品に見事結実し、かなり悶絶ものの内容。冒頭を飾る〝ウォーク・アス・アップタウン?の歌い出しのこぶしなどはひさしぶりにコステロきたあと感激してしまう。実際、コステロとクエストラヴの2人でまずは作曲を続け、曲として満足できれば残りのメンバーを呼ぶという形で制作された収録曲は、どれも70年代末から80年代にかけてのコステロのまとわりつくような魅力を強力なファンクと融合させた感じでたまらない。でも、考えてみればもともと饒舌なコステロのヴォーカルならラップ同様ザ・ルーツの音とはよく合うはずなのだ。(高見展)