ユー・クロス・マイ・パス エクストラ・エディション最近、これまでシャーラタンズに全然興味がなかった人、しかもふたりに「シャーラタンズの新作最高!」って訴えられて驚いたんだけど、それぐらい『ユー・クロス・マイ・パス』のサウンドはこれまでのシャーラタンズとは違うのだ。でも、だからこそオールド・ファンとしてはかなり戸惑っていたんだけど(前作、前々作よりは良いとはすぐに思ったけど)、何度も聴き返すうちに、「確かに最高!」と思えるようになれた。その理由はこの来日記念盤に収められているライブ音源を聴いてなんとなくわかった気がする。最初は圧倒的だった『YCMP』の全編を覆う、もろニュー・オーダーなアンニュイなキラキラ感だが、それをライブで聴くと、彼らの土臭いグルーヴが失われてないことをすぐに確認できて嬉しい。ただ、それより印象的なのは全盛期に比べたら、確実に逆境に立たされているはずのバンドが、実に楽しそうに演奏していること。そのポジティビティはアルバムからも滲み出ている。そして、だからこそ、新しいリスナーが耳を傾けるわけだ。そんなバンドをオールド・ファンとしては見放すわけにはいかない。(内田亮)