先日、翻訳出版された『ピート・タウンゼンド自伝 フー・アイ・アム』(河出書房新社)はUKロック・ファン必読で、もちろん『トミー』についても赤裸々に語られている。ある程度、形になったとこでクリティックに聴かせたらユーモア不足と指摘され〝ピンボールの魔術師?を追加で書いたエピソードなどをこのスーパーDXエディションを聴きながら読んでいったら最高だ。
同書のピート曰く「サイケ後の時代の精神的彷徨を反映させようとした」という作品は69年5月に発表された傑作だが、スーパーDX版はオリジナルの最新リマスター盤、ピートによるデモ録音の1枚、そして69年10月15日のカナダ、オタワ公演(一部、別公演)から『トミー』のパート全曲のCD3枚に加えアルバムに5.1chサラウンドを施したBlu-ray Audioの計4枚組。最大の聴きどころはこれまで断片的に出てきていたデモで、作家があれこれ推敲した自筆生原稿を前にするような感触がある。最初は誰もがこのアイデアに賛成したわけじゃなかったというが、そんな中、物語を編んでいく姿がリアルに浮かんできてアルバムがさらに豊かに楽しめる。(大鷹俊一)